第7章

 弘光は私の脚にすがりつき、鼻水と涙で顔をぐしゃぐしゃにしていた。

 普段の冷酷で傲慢な態度は見る影もない。

「亜由美、死んでもお前を手放すものか!」

「俺が間違っていた。美乃里を好きになるべきじゃなかった。だが誓って言う、あれはただの肉体的な迷いにすぎない! あいつは若く、真っ白なキャンバスみたいで、俺に久々のドーパミンを与えてくれただけだ。単なる創作のための『燃料』なんだ! 俺が本当に愛しているのはお前なんだ!」

「お前は俺の基盤で、芸術という命を育む土壌なんだ! 燃料がなければ絵は描けないが、土壌がなければ俺は死んでしまう! 亜由美、頼むから……」

 この期に及んでもなお、彼...

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