第16章

「この狂った女……」

真琴は奥歯を噛みしめたまま吐き捨てる。

「会社で暴れるだけじゃ飽き足りなくて、病院でも人に手を出す気か? 佳奈に関わった人間が、そんなに憎いのかよ!」

「絵里奈……お前の心、いったい何でできてるんだ。相手は瑠璃だぞ。お前の義姉だろうが……! どうしてそんなことができるんだ!」

絵里奈は口を開いた。けれど、声が出ない。

何を言えばいい?

自分はナイフに触れていない、と言う?

ずっと目を閉じていた、と言う?

無駄だ。

真琴の中では、絵里奈は最初から最後まで「罪を背負う側」なのだから。

「……ごめんなさい」

絵里奈は俯いた。声も沈む。

「私が悪いの」

...

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