第17章

絵里奈は看護師の制止も振り切り、中島医師が処方した薬も受け取らないまま、弱り切った身体を引きずって病院を出た。

N市の夜風は冷たい。薄いシャツの隙間から容赦なく侵入し、皮膚の奥まで凍らせる。傷口のガーゼはとうに血で滲み、布地と貼りついてしまっていた。歩くたび、剥がれかけた肉が引きちぎられるみたいに痛む。

痛い。けれど、止まれない。

屋敷へ帰らなきゃ。

妻として、真琴の明日の服をまだ用意していない。寝室だって掃除していない。

それはお姉ちゃんの願いだった。必ず叶えると約束した。なら、これくらいの痛みは受けるべきだ。

薄暗い街灯の下、ナンバープレートのないミニバンが、絵里奈の横でキキ...

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