第21章

病室のドアが閉まった瞬間、賢治の足音は廊下の突き当たりへ吸い込まれて消えた。

それと同時に、真琴の顔に貼りついていた偽りの「穏やかさ」が、粉々に砕け散る。

賢治が触れた粥の器を、ゴミでも払うみたいに手の甲で雑に弾き、ゴミ箱へ放り込んだ。

ガチャン、と耳障りな音。粥が飛び散り、床も壁も汚れる。

「……泣けるね」

真琴は振り返り、ベッドの上の絵里奈を見据えた。口元には、嘲りだけで形づくられた薄い笑み。

「ブルーベリーは食べられない。寒いのが苦手。消毒の匂いが嫌い……」

一歩、また一歩。

彼はベッドへ迫り、絵里奈の両脇に手をついて身体を覆い被せる。逃げ道を奪われ、圧が肺を押し潰した...

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