第44章

絵里奈は、自分が床にうつ伏せてどれほどの時間を過ごしたのか、わからなかった。

病室へ戻ってからずっと、壁際の隅に身を縮めている。

かつて絵筆を握っていたはずの両手で、膝をきつく抱え込む。視線の先には、床の一角――乾き切って黒ずんだかぼちゃのスープの染み。

あれは、父がくれた、数少ないぬくもりだった。

たぶん、もうすぐ介護士が拭き取ってしまう。

何も残らない。

自分には掴みようもないそのぬくもりすら、瑠璃は嘲る材料にするのだ。

「……ほんと、バカ」

顔を腕の中に埋め、ひび割れた唇をわずかに動かす。自嘲の息が、かすれて落ちた。

必死に求めていたあたたかさは、結局――あの女の、退...

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