第56章

美雪はひと呼吸置き、口元に苦い笑みを浮かべた。

「あとになって知ったの。あの人たちが私を引き取ったのは、私の血液型が特別だったから。実の娘が血友病で、いつでも使える生きた輸血袋が必要だったのよ」

絵里奈の瞳が、かすかに揺れた。

生きた輸血袋。

あまりにも聞き覚えのある響きだった。

自分は佳奈の代わりで、真琴の鬱憤を受け止める道具で、誰にでも殴られ蹴られしていい犬――まるで、そのままだ。

「五歳の頃から、毎月血を抜かれてた」

美雪は袖をたくし上げ、腕を見せた。かすむ視界の向こう、その肌には無数の針痕が刻まれているように見えた。

「ひどいときは立っていられなくなって、吐いて、気を...

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