第170章 刺激がある

伊原綾音は澄川琉生から電話を受けた。正直、上に行く気はなかった。けれど彼は「話がある」と言う。断りきれず、彼の専用エレベーターから上階へ向かった。

同僚に見られるのが怖い。ようやく噂を片づけたばかりなのに、また何か言われるのは御免だった。

成井正彦がわざわざエレベーター前まで迎えに来て、彼女を案内すると、空気を読んだようにすっと姿を消した。

綾音はオフィスの応接スペース、ソファの前で立ち止まって尋ねる。

「私に何の用?」

琉生は薄く笑い、ソファを指した。

「座れ」

綾音は何も言わず、向かいに腰を下ろす。すると男は笑って、自分の隣の座面をぽんぽんと叩いた。

「そんな遠くに座って...

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