第9章

神代時臣がこれほど頻繁にセレブのパーティーに出席するようになるとは、思いもしなかった。

神代家の長孫として、彼はこれまでずっと華美な社交場を避け、家業に専念してきた。しかし最近、藤原悠介が出席するイベントには、必ず彼も姿を現すのだ。最初は私を監視しているのかと思ったが、やがて彼の視線が、私と藤原悠介のやり取りではなく、私のポケットに入っている御守りとの囁きに注がれていることに気づいた。

「どうして彼、ずっとこっちを見ているのかしら?」

私は物語の守護者に小声で尋ねた。

【宿主様、もう少し声を落としてください。彼女は我々の対話を感知できるようです】

物語の守護者の声が、どこか...

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