第161章

藤原美咲に電話をかけた。

藤原美咲は顔が広い。なにより、彼女の従兄がこの私立病院の検査科にいる。

「藤原美咲、助けて」

一ノ瀬美琴は声を落とした。痛みに息がひゅっと引きつり、言葉の合間に震えが混じる。

「九条家が親子鑑定をするの。結果、書き換えて」

受話器の向こうで、藤原美咲がくすりと笑った。計算高さが声に滲む。

「美琴、それって相当ヤバい取引だよ。九条家が帝都でどんな立場か、あんたのほうが分かってるでしょ。バレたら、従兄の飯の種が飛ぶ」

「いくら欲しいの」

美琴は無駄を省いた。藤原美咲の強欲さは、骨の髄まで知っている。

「1億」

さらりと言い放つ。

「……頭おかしいの...

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