第68章 偏愛

不破蓮の顔色がすっと沈み、神崎結菜の言葉の裏を読み取った。

「老夫人の飲食や服薬に触れられる人間は、そう多くないはずだ。それに、毒が何年も続いていながら通常の検査で引っかからなかった……となると、犯人は不破家の医療手順と検査の穴を熟知している」

一拍置いて、結菜が結論を落とす。

「……この人間、不破家の中にいる可能性が高い」

不破蓮の瞳孔が、はっと縮んだ。

「なら、すぐに人員を入れ替える」

スマホを掴んで発信しようとした瞬間――結菜が手首を押さえた。

「今入れ替えたら、犯人に“気づかれた”って知らせるだけ」

不破蓮の動きが止まり、視線が結菜へ落ちる。

「蓮が“おばあさまの周...

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