第81章

不破蓮は白鳥美咲を見つめたまま、まるで波ひとつ立たない声で言った。

「君に対して、俺が一度でも特別な感情を抱いたことはない。もしあるなら、とっくに今じゃない」

白鳥美咲の目から、とうとう涙がこぼれ落ちる。

「……じゃあ、本当にあの子が好きなの? いったい、あの子の何がそんなにいいのよ」

「結菜は聡明で、優しくて、勇気もある。笑った顔だってすごく綺麗だ。あいつには、目を向ければいくらでも惹かれるところがある」

不破蓮はいったん言葉を切り、それから静かに続けた。

「……たとえそういうものが何もなくても、俺は結菜がいい」

物陰に身を潜めていた神崎結菜は、その言葉を聞いて、ほんの少しだ...

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