第91章

「篠谷教授、どうしてこんな話を私にしてくださるんですか?」

 神崎結菜は、どうしても不思議でたまらず問いかけた。

「君がこの毒素を調べていると知ったからだ。どこでその情報を掴んだのかは分からない。だが、あるいは君こそが――その人かもしれない」

 結菜はますます面食らい、きょとんとしたまま彼を見つめる。

「篠谷教授……それ、どういう意味ですか?」

 篠谷教授は机の引き出しを開け、封筒を一通と、牛革張りの小さな手帳を取り出して彼女へ差し出した。

 神崎結菜は戸惑いながら受け取る。

「これは……」

「その手帳は、私の師兄が実験の記録をつけていたものだ。封筒の中には鍵が一本だけ入って...

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