第113章

その時、ソファに座っていた利央がゆっくりと立ち上がった。

長身から放たれる威圧感は圧倒的だ。

トップモデルとして視線とレンズに敏感な彼の端正な顔は、今、陰鬱な怒りで覆われていた。

「緑川さん」

利央は乱れてもいない襟元を正し、ナイフのように鋭い視線を大志に突き刺した。

「これがオミネグループの教養ですか? こんな狂った女を連れて私の仕事場に乗り込んでくるとは。緑川夫人がこの家で冷遇されているという噂は、どうやら本当のようですね」

大志はその光景に完全に呆気にとられた。

充血していた目は、今や驚愕に見開かれている。

机に広げられた数十種類の生地サンプル、床に散らばった無数のラフ...

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