第115章

舞台裏の廊下は、慌ただしく行き交うスタッフやモデルたちでごった返していた。

朱月が待機エリアに足を踏み入れた瞬間、塗料缶を抱えたスタッフが横から飛び出してきた。足が滑ったのか、男はバランスを崩し、缶に入っていた深い青のアクリル絵の具が勢いよくぶちまけられた。

朱月のシンプルな黒いロングドレスの裾に、見るも無惨な染みが広がっていく。

「も、申し訳ありません!」

スタッフは顔面蒼白で謝罪した。

彼はティッシュで懸命に拭き取ろうとするが、汚れは広がるばかりだ。

「あちらに更衣室があります。急いで処置しましょう、でないと跡が残ってしまいます」

「さっさと綺麗にしてこい」

大志は苛立た...

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