第116章

朱月はドアに背を預け、激しく波打つ胸を片手で抑えた。

目の前で親指の腹で彼女の唇を愛撫する男と、固く閉ざされた扉を交互に見やる。

江良と彼は、一体どういう関係なのか。

彼女は彼を『圭介』と呼んだ。まるで二人の間に秘密などないかのような、馴れ馴れしい口調で。

彼女は躊躇なく彼らの情事を中断させ、あまつさえ彼のためにこの厄介なトラブルの後始末まで引き受けた。

圭介のこの界隈での評判は芳しくない。プレイボーイで、愛人は数知れず。

相沢江良も、その中の一人なのだろうか。

さっきのキスの熱が急速に冷め、代わりに心臓の奥底から苦い感情がせり上がってくる。

これは何だ?

私、朱月は一体何...

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