第33章

朱月は無表情のまま、あの息詰まるようなオフィスを後にした。

大志の言葉は毒を塗った氷の棘のように心臓を突き刺したが、彼女は弱音一つ吐かなかった。

この程度の屈辱は、ほんの序章に過ぎないことを熟知していたからだ。

案の定、デザイン部の自席に戻るや否や、甘ったるい香水の香りと共に一つの人影が立ちはだかった。

紗奈だ。

仕立ての良い純白のスーツに身を包み、完璧なメイクを施した彼女は、まるで自分の領土を巡回する女王のように微笑んでいる。

「朱月、驚いた? こんなに早く復帰できたのよ。これもあなたの『ご配慮』のおかげね」

「大志から、デザイン部の業務連携を手伝うように言われたの。これから...

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