第51章

耳をつんざくようなサイレンの音が、遠くから急速に迫ってくる。救急車が入り口で急ブレーキをかけて停車し、強烈なヘッドライトが視界を白く染め上げた。

救急隊員たちが手際よく江藤院長をストレッチャーに乗せ、朱月と紗世も慌ただしく車内へと飛び乗った。

車内では、医療機器の無機質な電子音と酸素マスクのシューシューという音が交錯していた。その音はまるで密閉された網のように、朱月の心臓をきつく締め上げていく。

彼女は呆然と、江藤院長の顔を見つめた。いつもは温かな笑みを絶やさないその顔から血の気が失せ、今はただ苦痛に歪んだ皺だけが刻まれている。

病院に到着すると、救急処置室のドアの上にある赤いランプ...

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