第56章

最終審査まで、残りあと五時間。

「最終審査の会場は新浜市デザイン協会ビル。あそこのセキュリティは最高レベルよ」

紗世は進行表と照らし合わせながら、確認するように口にした。

「参加者もモデルも、指定のゲートからしか入れないし、身元確認後はスタッフが誘導する手筈になってる。これなら安心ね」

朱月は、『新生』と名付けた白いロングドレスに最後の調整を施していた。

彼女の視線が裾に散りばめられた真珠を滑り、指先が肩口のプリーツを丁寧に撫でていく。

顔を上げた彼女の瞳は、異常なほど澄み渡り、不気味なほどの静けさを湛えていた。

「それはあくまで、まともな相手ならの話よ」

彼女は淡々と言った...

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