第75章

三十分後、院長室で伊織に処分が言い渡された。

「伊織くん、君が優秀な医師であることは私も認めている」

院長は声を潜め、その口調には諦めと疲労が滲んでいた。

「だが、この件の真相がどうであれ、現状は君にとっても病院にとっても極めて不利だ。まずは停職とし、自宅で謹慎してくれ。調査委員会を立ち上げ、事実関係を明らかにするつもりだ」

「停職」。

その二文字は重い鉄槌となって、伊織のキャリアを打ち砕いた。

以前の聖愛病院では、大志がコネを使い、彼を解雇に追い込んだ。

だが今回は、完全な濡れ衣だ。

一度でも「医療ミス」のレッテルを貼られれば、たとえ後に身の潔白が証明されたとしても、その汚...

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