第78章

朱月は迷いを振り払うように、銀色の手提げ鞄を手に更衣室の最も奥にある個室へと足を踏み入れた。

箱を開けると、そこには黒いベルベットのドレスが収められていた。

余計な装飾を削ぎ落とした、大胆なカッティングの一着だ。

胸骨の下まで深く切り込まれた胸元、腰まで露わになる背中、そして歩くたびに太腿のラインを覗かせる高いスリット。

それは、見る者を挑発するような「危険」なドレスだった。

大志が好んで選ぶシャンパンゴールドや淡いピンクのドレスとは対照的だ。あれらは彼女を従順で優雅な「緑川夫人」に仕立て上げるための枷でしかなかった。

だが、このドレスには攻撃性がある。まるで闇夜に咲く棘を持った...

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