第99章

「紗奈!」

大志は寝室に飛び込んだ。全身ずぶ濡れで、髪の先から雨水が滴り落ちている。

ベッドの上には、触れれば壊れてしまいそうなほど儚い姿があった。

喉元までせり上がっていた心臓がようやく元の位置に戻り、次いで波のように押し寄せてきたのは、耐え難いほどの愛おしさと胸の痛みだった。

彼はベッドサイドに駆け寄り、片膝をつくと、彼女の包帯が巻かれた手首を、まるで宝物でも扱うかのように慎重に掬い上げた。

「なんて馬鹿なことを……どうしてこんな真似をしたんだ?」

大志の声は震え、その瞳は赤く充血していた。

紗奈はゆっくりと瞼を開いた。長い睫毛にはまだ涙の粒が光っており、その声は蚊の鳴くよ...

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