第22章

「あら、渡辺さんの秘書課って、もしかして愛人候補でも募集しているの? どの子もまるで男を惑わす妖精みたいだわ」

その酸味を帯びた言葉に含まれる皮肉は、誰の耳にも明らかだった。

渡辺さんこと、宇宙テックの代表、渡辺光一。

彼は若くして宇宙テックを創設し、白川和夜と並んで科学界の双璧をなす若きカリスマだ。そして、遥か昔から周防緋音という原石の輝きを見抜いていた人物でもある。

本来なら周防緋音を共同経営者として迎え入れ、共に天下を取るつもりだった。しかし彼女は、結婚という名の泥沼に頭から飛び込んでしまったのだ。

彼はその才能の損失を惜しみ、嘆いた。

彼女の先輩である辻本十流は、渡辺の勧...

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