第28章

周防侑子はわざとらしく手を差し伸べたが、周防緋音はその手を避けた。

侑子は眉を吊り上げ、嘲笑を含んだ声で言い放つ。

「緋音、どうしてこんな場所にいるの? いくらカズのご機嫌取りだからって、ここまで落ちぶれることないじゃない」

「白川家の奥様に知られたら、私生活が乱れてるって後ろ指さされるわよ」

周防緋音の顔色が瞬時に陰った。

「放っておけ。汚い」

白川和夜は緋音を一瞥もしないまま、周防侑子の手を引いて立ち去ろうとする。

汚い。

彼は、私が汚いと言ったのだ。

周防緋音の心は瞬く間にどん底へと突き落とされた。胸をスプーンでえぐり取られたような空虚感。そこに冷たい風が吹き込み、全...

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