第50章

いつの間にか、周防緋音はソファで眠りに落ちていた。

身体を少し斜めに預けて微睡んでいると、キッチンから出てきた小林がその姿に気づき、そっと上着を掛ける。そして肩を優しく叩き、小声で呼びかけた。

「起きて」

周防緋音は弾かれたように目を開けた。漂ってくる料理の香りに、思わず問いかける。

「ご飯、できたんですか?」

「ええ……」

小林は急いでキッチンに戻り、料理を一つひとつ盛り付けると、彼女の前に並べた。

周防緋音は居住まいを正し、茶碗を両手で包み込むように持って箸を進める。

「ねねちゃん、お肉もたくさん食べてね。わざわざ市場まで行って買ってきたんだから」

小林は傍らに立ち、慈...

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