第54章

辻本十流の支持があれば、周防緋音に異論などあるはずがなかった。

「デザイン部に引き継ぎに行ってくる」

そう言い残すと、辻本十流は反対方向へと歩き去った。

周防緋音は頷き、先に会社を出ることにした。

エレベーターホールまで歩いていくと、予想外の人物と鉢合わせした。

白川和夜だ。

とっくに退社しているものだと思っていたのに。

咄嗟に踵を返して逃げ出そうとしたが、周防緋音はその場に踏みとどまった。

なぜ私が白川和夜を避けなければならないの?

私は何も間違ったことなんてしていない。

これではまるで、私の方にやましいことがあるみたいじゃないか。

それに、白川和夜こそが、お腹の子を...

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