第5章

美空視点

日々はあっという間に過ぎ、すぐに全国サーフ選手権の開幕日を迎えた。

青川ビーチは色とりどりの旗で飾られ、観客席は満員、空気は興奮と緊張に満ちていた。シード選手である大悟はかなりの注目を集め、常に記者や、写真とサインを求めるファンに囲まれていた。

「見てよ、うちの有名人さん。すごい人気で、もみくちゃにされてる」私はサインをねだる女の子の集団に囲まれている大悟を見ながら、からかった。

隣で浩介がくすくす笑う。「確かにカリスマはあるよな。でも、あのまんざらでもない顔を見てみろよ。有頂天になってるのが見え見えだ」

私も思わず笑ってしまった。「ほんと! きっと今にでもこ...

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