第7章

葵視点

数日後、湊司の容態は安定し、一般病棟に移された。

颯真の回復は驚くほどで、医師からはあと数日で退院できると言われた。

その日の午後、私は颯真の大好物である苺のケーキを買いに行った。そして病室に戻った私は、生涯忘れることのない光景を目にする。

颯真が湊司のベッドの傍らに座り、色とりどりのクレヨンを手に絵を描いていた。湊司はまだ弱ってはいるものの、その息子をじっと見つめている。

「パパ、見て! これ、僕が描いた家族の絵だよ」颯真が興奮した様子で画用紙を掲げる。「これがパパで、これがママで、これが僕。それから、僕たちの犬」

『パパ? あの子、湊司のことをパパって呼んでる...

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