第8章

葵視点

一週間後、アシスタントから緊急の電話が入った。

「葵様、速水株式会社の状況が危機的です」アシスタントの声は切羽詰まっていた。「美琴様が湊司様の息のかかった者たちを一掃し始めています。そして買い手を探しているようです。会社を売却するつもりです」

『何ですって? 速水株式会社を売るつもりですって?』

「さらに、今日の午後、取締役会が緊急招集され、湊司様を社長職から永久解任することが話し合われる予定です」

私はベッドに横たわり、外で何が起こっているのか全く知らずに颯真と積み木で遊んでいる湊司に目をやった。

「車を用意して。白鷺市へ行くわ」

白鷺市、速水株式会社本社、役員...

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