第9章

葵視点

二年後

雲の隙間から陽光が差し込み、白鷺湖畔公園の芝生を照らしていた。穏やかな風が湖面を撫で、さざ波を立てている。

私はふかふかのピクニックシートに身を預け、穏やかな日差しの中で、芝生を駆け回る湊司と颯真を目で追っていた。湊司は、まるで病を乗り越えた証のように、以前よりも一層たくましく、力強くボールを蹴り上げる。

一方の颯真は、小さな猿がそのまま飛び出してきたかのように、元気いっぱいに芝生を跳ね回り、笑い声を響かせた。その光景は、何よりも雄弁に、私たちの幸せを物語っていた。

「ママ! 見て、僕すごいでしょ!」颯真が興奮した様子で私に手を振り、湊司に向かってボールを蹴...

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