第5章
朋之は私の目尻に浮かんだ涙をそっと口付けで拭い去り、それからゆっくりと振り返って、恐怖のあまり失禁している男女へ視線を向けた。
会場をぐるりと見渡した後、その冷徹な眼差しは、村木に抱かれて指をしゃぶっている子供へと落ちた。
「美由早が石女だと?」朋之は鼻で笑った。それは純粋な嘲笑だった。
「なら考えたことはあるか。どうしてそのガキの目は茶色で、お前の目は青いのかを」
「パパ、誰がやったの? ママに手を出した奴は誰?」
進の声に子供らしいあどけなさは微塵もなく、ただ朋之と瓜二つの凶暴さだけが滲んでいた。その灰青色の瞳は克裕と村木を射抜き、今にも飛びかかって噛みちぎらんばかりの殺...
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