第8章

 美由早の言葉は、俺の自制心を木端微塵に打ち砕いた。

 俺は彼女の後頭部を強引に引き寄せて、略奪するように唇を塞いだ。それはもはや、恐る恐る相手を窺うような口づけではない。半生を飢えに苦しんだ野獣が、ようやく血肉の味を知ったかのようだった。

「朋之……」

 情欲に染まったその声は炎となり、俺の理性を完全に焼き尽くした。

『罪の証』が散乱するデスクに彼女を押し倒し、古いガラクタを床へと払いのける。メモ用紙、ドライフラワー、映画の半券が雪のようにはらりと舞い落ちた。まるで、決して日の目を見ることのない過去たちが、俺の足元で踏みにじられていくように。

 シャツを引き裂けば、ボタンが弾け飛...

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