第9章
契約が結ばれてからの日々、私は魔王を絶対的に支配する悦楽に酔いしれていた。
毎朝、彼が目覚めて最初に私を探す眼差しを見つめ、私が少し離れただけで抱く不安を感じるたび、私の心はかつてない満足感で満たされていく。
「蛍、今日は庭園を散歩しないか?」
「ええ、素敵ですね」
私は甘く微笑み
「でも、あなたが一緒にいてくださらないと」
「当然だ」
魔王はそれが世界で最も当たり前のことであるかのように、躊躇なく頷いた。
私たちがちょうど出かけようとしたその時、一人の魔族兵が慌てふためいて駆け込んできた。
「へ、陛下! 緊急事態です!」
魔王は眉をひそめる。
「何事をそん...
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