第83章:ニルヴァーナ

アストリッドは言い終えると、サイラスが呆然としている隙をつき、彼の横をすり抜けて部屋を出て、背後のドアを閉めた。

室内。

サイラスは閉ざされたドアを見つめ、きびすを返してリビングへ向かい、腰を下ろした。長い脚を組み、白いガーゼが巻かれた自分の手を持ち上げてじっと見入る。

その温かく柔らかな感触は、手にも、胸にも、そして全身にも、まだ微かに残っているかのようだった。

それを自覚したサイラスの瞳は次第に暗い色を帯び、彼はジェフリーに電話をかけた。

「この件を誰かに調べさせろ。写真はすでに送ってある」

「承知いたしました、モンゴメリー社長」ジェフリーは電話を切った。

送られてきた写真を...

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