第92話おじいちゃんを毒殺したの

「私は行かないわ」アストリッドはあっさりと答えた。

アストリッドの手を握っていたガースの手が一瞬こわばり、その表情が険しくなった。

「おじいちゃん、逃げたって何も解決しないのよ」アストリッドはガースの手を握り返し、その表情は次第に和らいでいった。

ガースが病に倒れて以来、彼女は言葉にならない重圧に押しつぶされそうになっていた。

だが今、不思議なほどの安堵感が彼女の心を洗い流していくのを感じていた。

隠れる? いつまで? 一体どこまで逃げ切れるというのだろう。

彼女の存在が特定の人間にとって脅威である限り、奴らが彼女を放っておくはずがないのだ。

奴らは冷酷で、海外へ逃げたところで決...

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