第5章

絵麻の視点

鏡の中の人物は、プロフェッショナルに見えた。体にぴったりと合った黒いスーツ、ぱりっとアイロンのかかった白いシャツ、低い位置で一つにまとめたポニーテール。ファンデーションが目の下の濃い隈を隠している。口紅は、一番無難なヌードカラー。

私はプロに見える。ちゃんとして見える。ここ三晩、泣き通しだった人間には見えないはずだ。

由美から電話がかかってくる。

「いい、あなたはプロなのよ。サービスに対してお金をもらう。ただそれだけ」

「わかってる。私ならできる」

「絵麻、本当にこんなことしなくてもいいのよ」

「ううん、しなきゃいけないの」

最後にもう一度、鏡を確認する。...

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