第8章

絵麻の視点

「ちゃんと、君と話すべきだった」涼介の声がかすれている。「絵麻、本当にごめん。全部……」

私の手は震えが止まらない。彼はそこにひざまずいていて、私たち二人の顔には涙が伝っている。庭園全体が静まり返っていた。

「でも、有希さんが……」言葉がうまく出てこない。「三ヶ月前に、彼女の指輪を見たの。あの朝、彼女の声を聞いた。それに、メールも……」

誰かが隣で動く気配がした。有希さんが、背の高い男性と一緒に現れた。

彼女は私の手を取り、そっと握りしめる。「絵麻さん、見て」

有希さんは左手を持ち上げる。指輪が光を反射してきらめいた。

「この人は中井真琴。私の婚約者なの。三...

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