第7章

 鋭く尖った真理奈の爪が蒼の頬を切り裂かんとしたその刹那、黒い革靴が彼女の腹部に深々と突き刺さった。

 彼女の体は木の葉のように吹き飛び、大理石の柱に激突する。ホールに凄惨な悲鳴が響き渡った。

 和輝はゆっくりと足を戻し、無表情のまま、うずくまる真理奈を見下ろしている。その声は、恐ろしいほどに静かだった。

「村木」

 闇の中から長身の男が現れ、恭しく頭を垂れる。

「浅野様」

「連れて行け」

 和輝の声には、一切の抑揚がない。

「ファミリーの掟通りに処理しろ。妻にしたことを、そのまま味わわせてやれ」

 村木が頷き、指先で小さく合図を送る。即座にボディガードたちが歩み寄り、半狂...

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