第105章 お姉ちゃん、助けてよ

「……浅野さんのお気持ちは、奥様もよくご存じでしょう。いったんこうと決めたら、そう簡単には翻りません。何度も申しておりました。小林莉那という女は腹の中が真っ黒で、何をしでかすかわからない。奥様が日本にいらっしゃる以上、とても安心してはおれないのだと」

 柴田はそう言って、ふっとため息をついた。

「たとえ今すぐ奥様をこちらへお連れできなくても、せめてパリにいちばん安全な逃げ道だけは残しておきたい。万が一、日本で何か起きても、いつでもすぐこちらへ来られるように。医療も生活も、その場で整えられるように――浅野さんは、いまの自分にできるのはそれしかないと仰っていました」

 吉野母は鼻の奥がつん...

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