第114章 彼はついに目を覚ましたのか

「……彼女を探しに行ったりはしない。約束は守る」

 吉野結人が、かすれるほど小さな声で言った。

「でも、無事かどうかだけは知りたい。それだけが俺に残された……最後の願いなんだ」

 平田健人の胸の奥が、ふっと苦くなる。

 今、吉野結人が口にしている言葉には、かつての高圧的な社長然とした威圧が一切ない。むしろ、みっともないほどの懇願が滲んでいた。

 同情が湧く――その一方で、頭の中に別の言葉が浮かぶ。

 今さら、何を。

 少し迷った末、平田健人は結局、折れた。

「承知しました、吉野社長。できる限り、浅野さんの動きを追ってみます」

「無理はするな。できる範囲でいい」

 吉野結人...

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