第194章 バイタルが安定した

 彼女の目元は赤く染まっていた。それでも必死にこらえ、涙だけは落とさない。

 もう片方の手を伸ばし、吉野結人の額に張りついた、汗で濡れた前髪をそっと払ってやる。

「あなたは、あの女の息子と戦って……お父さんの、虎視眈々と狙ってくる親戚たちとも戦って……会社の中の、したたかな古狸どもとも戦って……一瞬だって気を抜けなかった。あなたが引き継いだとき、会社がどれだけひどい有様だったか、ママは全部わかってる」

 言葉の端が、かすかに震えはじめる。

「お父さんは、あの母子に骨の髄まで吸い尽くされて……残ったのは穴だらけの抜け殻と、どうしようもない借金だけ。みんな笑いものにする気で待ってたのよ。...

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