第21章 誰かが君のファイルにアクセスしようとしている

どんな些細な綻びも、見逃してはいけない。

自分の手の内を洗いざらい把握し、後々の火種を一つ残らず摘む。それが彼女の流儀だった。

小林莉那はすぐさまスマホを取り出し、登録してある番号を呼び出すと、指先だけで素早く文面を打ち、送信する。

【莉緒の最近の受診履歴を全部調べて。特に産婦人科。急いで。金は出す】

送信が完了すると、彼女は端末をしまい、沈んだ目で窓の外を見た。

莉緒が妊娠していようがいまいが関係ない。芽の段階で、脅威は潰す。

吉野夫人の座は、自分のものだ。自分以外に座る女など、要らない。

……

アトリエの見学を終えると、川崎綾人が「送っていく」と自然に言い出した。

莉緒...

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