第22章 感情は最も重要でないもの

 彼女は足早に病院の外へ出ると、路肩に停めてあったピンクの車のドアを引き開け、そのまま滑り込んだ。手にしていた書類封筒を、助手席の小林莉那へ差し出す。

「小林さん、はい。全部取ってきました」

 小林莉那は素早く封を受け取り、ろくに返事もせずにベリッと開封した。中から分厚い検査報告書の束を引き抜き、ぺら、ぺら、と息を詰めるようにめくっていく。

 しばらくして、視線が診断欄で止まった。

 両側卵管閉塞。多嚢胞性卵巣症候群。

 自然妊娠の確率は平均より低い――。

 莉那はくっと喉を鳴らして笑い、報告書を自分の膝に叩きつけると、運転席の福田優愛へ顔を向けた。

「妊娠じゃない! 優愛、見...

ログインして続きを読む