第33章 夫婦生活を送るのはごく普通じゃないか

 吉野結人は掛け布団をさっと持ち上げ、そのままベッドへ滑り込んだ。腕がごく自然に莉緒の腰へ回り、抱き寄せる。

 ――なのに。

 指先に触れた身体は、石みたいに硬い。全身がこわばって、ぴんと張りつめている。

 吉野結人の胸の奥に、理由のわからない苛立ちがむくむくと湧いた。

 そこまでして、俺に触られたくないのか?

 帰宅すると駆け寄ってきて、近づけば頬を薄く染めていた妻は――もう、本当にいなくなってしまったみたいだった。

 彼は身を寄せ、唇を彼女のうなじにそっと当てる。浅く、軽いキスをひとつ。

 莉緒の身体がびくりと震え、逃げようと身をよじった。

 だが、結人の腕はきつい。抜け...

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