第52章 リスクの排除

吉野結人の瞳孔が、ぎゅんと見開かれた。身体が大きく揺らぎ、足元が頼りない。

「ち、違う……俺じゃない。莉緒、あれは酔ってて、口が滑っただけだ! お前に腹が立って、勢いで……! あんなの本心じゃない! 俺は――」

「酒の勢いは本音が出るって言うでしょ。夢の中の言葉も本心だって言う。じゃあ何が『勢い』なのよ!」

 莉緒が、切り捨てるように遮った。

 その目で結人をまっすぐ見据えながら、涙がさらに激しく溢れ出す。まるで、人生分の涙を今日ですべて使い切ってしまうかのように。

 吉野結人は、言葉を失った。

 自分が口にしたはずの最低な一言を、彼は覚えてすらいない。

 あれが本音だったのか...

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