第60章 一緒に海外へ行ってくれないか

 二人は庭に出て、黙ったままニラを刈り始めた。

 莉緒は子どものころから裕福に育ち、のちに家が傾いてから吉野家に身を寄せることになった。とはいえ、公平に言えば、この数年で生活の苦労を骨身にしみて味わったかというと、そうでもない。だから手つきがどうにもぎこちない。

 鎌を握る指先に余計な力が入り、刈るたびにびくびくする。おばあちゃんに嫌がられたくなくて、失敗したら怒鳴られるんじゃないかと、勝手に怯えていた。

 けれど、空気こそ気まずいままでも、おばあちゃんは結局、何ひとつ罵らなかった。

 三人ともそれぞれ黙り込み、畑にあるのは鎌がニラの根をさらう「しゃっ、しゃっ」という乾いた音だけ。

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