第71章 どうして薬を飲んでいるのか

「――どこへ行こうが、何をしようが、吉野社長に関係あります? ここはおばあちゃんの家であって、吉野家じゃない。招かれてもいないのに押しかけて、人の話を盗み聞きするなんて。それが吉野家のしつけなんですか」

 莉緒が冷ややかに言い放つと、吉野結人の表情がすっと沈んだ。

 けれど怒鳴りはしない。彼は莉緒の前まで歩み寄り、持ってきたサプリメントの箱を机上に置く。そして、何でもないことのように手を伸ばし、莉緒の手をそっと握った。

 熱いものに触れたみたいに、莉緒の肩がびくりと跳ねる。振りほどこうとしたが、指はさらに強く絡め取られた。

「……冷たいな」

 吉野結人は眉を寄せる。

「流産したば...

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