第72章 こんなに人を振り回すなんてない

「いや、そういう意味じゃないんだ」

 吉野結人は慌てて弁解した。

「いま具合がよくないだろ。変な薬を飲んで、かえって身体を壊したらと思ってさ。それに漢方は、体質と症状に合ってないと意味がない。どこかで適当に処方してもらって、もし合わなかったり、薬材に問題があったりしたら……逆に負担になる」

 少し考え込み、彼は言葉を選ぶように続ける。

「知り合いの医者がいるんだ。とくに婦人科の体調管理が得意で、評判もいい。よかったら俺が段取りする。いちど診てもらわないか。ちゃんと検査して――」

 それって、小林莉那の不妊のために探した医者……?

 その考えが、抑えようもなく莉緒の胸を刺した。

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