第74章 彼女ときっぱり縁を切る

 本来なら会社で案件対応に追われているはずの吉野結人が、玄関から入ってきた。

 莉緒ははっとして立ち止まり、吉野結人もまた、目に見えて一瞬固まる。

 次いで、彼の目にふっと喜びが灯った。すぐに莉緒のほうへ歩み寄ってくる。

「莉緒、やっと帰ってきてくれたんだな」

 笑みを浮かべたまま、抱きしめようと腕を広げる。

 けれど、その手が持ち上がった瞬間――莉緒の脳裏には、あの力強い腕が、裸の小林莉那を抱き寄せ、二人のベッドの上で絡み合っていた光景が、勝手に蘇った。

 ぞっとして、莉緒はとっさに一歩後ろへ退く。

 するりと、その腕をかわした。

 吉野結人の顔に浮かんでいた笑みがぴたりと...

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