第75章 彼女の冷酷さを責めないでくれ

「ごめんね、結人……!」

 小林莉那は取り乱した声で謝った。

「全部回収したつもりだったの。ほんとにわざとじゃないのよ。結人、お願い、信じて……」

 そう言ったかと思うと、彼女は急にしゃくり上げる。

「わ、私、莉緒さんに謝ってくる……! 私のせいで、ふたりが揉めたりしないで……!」

 受話器の向こうでめそめそ泣き続ける小林莉那の声を聞きながら、吉野結人はこめかみがずきずき脈打つのを感じていた。言葉にしがたい苛立ちが、胸の奥からふっとせり上がってくる。

 あの夜、小林莉那が泥酔していたことはわかっている。故意ではなかったことも、信じていた。

 だが――よりにもよって、あれを莉緒に...

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