第78章 彼女のためにやつれる

浅野莉緒は、疲れ切った足取りで吉野母の病室をあとにした。

手にした薄い書類袋が、今は持ち上げられないほど重く感じる。手もだるく、目の奥までつんと痛む。

莉緒はただ顔を上げて、必死に何度も瞬きをした。こみ上げる涙を、どうにか押し戻そうとして。

そのとき、スマホがぶるっと震えた。安藤里穂からだった。

莉緒は深く息を吸い、通話に出る。

「里穂さん」

 安藤里穂は電話の向こうで数秒黙り込み、それから重い声で口を開いた。

「莉緒、こっちで少しわかったことがあるの。驚かないで、最後まで聞いて」

「うん、聞く」

「クラブの男の店員、やっぱり小林莉那に金で動かされてた。あんたを狙う機会を作...

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